《MUMEI》
決意
《今森です。》


そっけないかなとは思ったけど、そのまま送信した。


《今森って陽菜ちゃん…でいいんだよね!?》


送信してすぐにメールは返ってきた。


《そうです
すみません夜遅くに
大丈夫でしたか?》


《全然大丈夫だよ☆
メールくれると思ってなかったからびっくりしたよ(笑)
俺今すげードキドキしてるもん
今森って誰だっけ?とか一瞬焦ったし(笑)》


それから何通も、メールのやり取りをした。
先輩はすごく気さくな人で、メールしているとどんどん緊張が解けていった。
そして気付けば、深夜になっていた。


《てか、もう2時なんだね((((;゜Д゜)))
俺一人で舞い上がって時間忘れてたよ
ごめん(-_-;)》


《大丈夫です
あたしこそごめんなさい
先輩、明日も早いんですよね?
無理しないで寝てください
また明日
おやすみなさい》


《俺のことは気にしなくていーよ、元気だけが取り柄だからさ(笑)
でも、あんま付き合わせたら悪いし寝るわ
おやすみ、今日はありがとう☆また明日》



先輩は今まで私が関わってきた男たちと、全然違った。
まるで別の世界の人みたいで、会話も新鮮ですごく楽しかった。
それに……



今まで関わってきた男たちみたいに、気持ち悪い雰囲気を出さない。

友達といるみたいに楽しいけど、友達と過ごす時間とは違う、今まで味わったことのない心地良い時間に、私は夢中になっていた。






そして暫くして、先輩に「付き合って欲しい」と言われ、私は迷うことなく承諾した。




その日から私は自分でもわかる程、変わった。
いつもの慣れた景色が、違うように見える。
今まで気にしていなかった携帯も、肌身はなさず持つようになったし、メールだって顔文字や絵文字をよく使うようになった。












そして眞季のことが、今まで以上に気になり出した。
いつも眞季の視線を感じる。
気のせいだと自分に言い聞かせてみたけど、前より酷くなっている気がした。


その証拠に昨日の夜だって、外から私の部屋を覗く人影を見た。

昨日が初めてじゃない。
ここの所、ずっと見られている。
そんなことするのは、眞季しか考えられない。




先輩とのこと、眞季は勘づいてる…?

そうなら早くなんとかしなきゃいけない。
先輩以外の男性(ひと)と、関わりたくない。








今までのこと全部、眞季に話して謝って終わらせよう。








明日、眞季と話そう。




そう思って、眞季にメールをしようとした瞬間、私の携帯が一通のメールを受信した。


《どうしても話さなきゃいけない話があるんだ。 一人じゃ解決できないから陽菜に助けて欲しい。》


眞季からだった。
丁度いいタイミングだと思って私は、



《あたしも話があるから 明日学校終わったら そっち行く》



そう返信した。

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