《MUMEI》
通じない心
「最初は許そう思った、忘れようと思った…」

あの時の気持ちを思い出すと、胸が苦しくなった。


今は違うけど、眞季は私の大切な人だったから…。



昔みたいには戻れないけど、眞季がいなかったら私は、誰とも話せない本当に孤独な人間に、なってたと思うから……。









だけど、眞季は“違うんだ”と言った。
ヘンなことするときだけ私のこと考えてるわけじゃない、毎日考えてる…、と。
そして…──

「僕も陽菜と同じ気持ちなんだよ?」

そう言った。




呆れて笑いが、込み上げてくる。
眞季は何もわかってない。

「なに言ってんの…?」

「僕たち、両想いだったんだよ!」

呆れる私に、眞季は嬉しそうに言った。




両想いって…なに…?

「ねぇ…アンタ、馬鹿じゃないの!?あたしはアンタのことが嫌いなの!毎日一緒にいてあんなことしてたのも苦しめる為、わかってる!?」

感情的に話す私を、眞季は微笑みながら、見ている。
その表情が、私を余計焦らせる。

「毎日早くあたしの前から消えてって願ってた。だからもう、 近寄らないで!あたしん家の周りうろつくのもやめて」

少し言い過ぎかも、と思ったけど眞季には、はっきり言わないとわからない。


それにこれが、今の素直な気持ち。


これだけ言えば、気の弱い眞季は引き下がる。





そう思って言ったのに、眞季は部屋を出ようとする私の腕を掴んだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫