《MUMEI》 喉が乾いて目が覚めた。時計は午前3時をさしている。二郎の寝息を確認し、静かに居間へ出る。 薄暗い光が漏れていた。 居間の共用デスクトップパソコンで、律斗は何やら調べ物をしているようだ。 「早く寝ろよ。」 欠伸をしながら、麦茶を出す。 慌てて律斗はパソコンの電源を落としていた。 俺のあのくらいの年齢の頃は落ちてたエロ本とかに興奮していた。 今はパソコンなんて便利なものがあるんだもんな……生身の人間のがやっぱり好きだったけど。 にしても深夜におかず探しとは、律斗も思春期なんだな……。 そういうのに鈍感な二郎が聞いたら卒倒しそう。 二郎なんて、俺の捨てエロ本押し付けられてた程度の男女のセックスしか知らないんだろうな……大体の思春期に済んでいくものは、俺が二郎に説明してそれを模倣していったようなものだったし。 二郎には潔癖なとこがあって、猿みたいに女で頭いっぱいな正常な中学生とはまた少しズレていた。 自慰も中学生にはありえない程にしていなかったよな……。 パソコンの電源が完全に落ちていないことを確認して、つい、興味本位で履歴を確認してしまった。 熟女だったらどうしよう…… しかし、それも外れて、画面には日記が書かれていた。 内容はざっと、見たかんじは私用のもので、片想いの相手に打ち明けれない言葉を吐き出しているようだ。 ただ、気になるのは、日記を書いている本人は一児の父親であり、片想いの相手は同性ということだ。 ひやりと、背中に氷の塊をつけられたような感覚がする。 今は、気持ちを落ち着かせたくて、日記のURLを自分のパソコンに送った。 前へ |次へ |
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