《MUMEI》
真鍋と僕
しつこく鳴り続ける陽菜の携帯電話。
陽菜は何かを訴えるような目で、携帯が入った鞄を見ている。
嫌な予感がして、僕が携帯を取ろうとすると陽菜が、

「やめて!」

と言った。
それを無視して、僕は携帯を手に取った。



『真鍋先輩』






携帯の画面には、そう出ていた。



丁寧にハートの絵文字まで付けて…。

「真鍋に僕が好きだって言うのと陽菜の恥ずかしい写メ送られんの…どっちがいい?」

「どっちも嫌ッ!!写メなんか送ったら、ほんとに許さないからねッ!!」

「ふぅん…じゃあ陽菜の変態な姿ムービーに撮って送ってあげるね?」

そう言うと、陽菜が僕を睨んだ。

「…眞季のくせに」

「眞季のくせに…か……陽菜はその僕に叩かれてお漏らししたんだけどね」

陽菜は黙ってしまう。

「それで舐められて可愛い声まで出したんだよ?真鍋相手じゃそんなことできないでしょ?」

「先輩との方がアンタなんかとするより全然いいに決まってるでしょ!」

「じゃあ、お漏らしもするんだ…真鍋は陽菜のオシッコ舐めてくれるかなぁ?」

「そんなことするわけないでしょ!?そんな変態みたいなことすんのアンタだけよッ!!」

「そう、僕だけなんだよ…陽菜を愛してあげられるのは…陽菜の全てを受け入れられんのは僕だけなんだよ」

そんなことを話しているうちに、携帯は鳴らなくなった。

「切れちゃったね…でも、大丈夫だよ…陽菜の体が僕のモノになった記念はちゃんと真鍋に見せてあげるから」

陽菜は首を振りながら後ずさりした。

「僕から逃げようとしてる?……そうだよね、陽菜はまだ僕のこと甘く見てるんだもんね…」

壁に突き当たった陽菜は、涙を溜めて小さな声で何度も「いや、 いや」と言っている。
だから僕は、陽菜の髪を優しく撫でてあけた。

「大丈夫だよ、佐野さんにも僕にもできたんだから…陽菜にだってできるよ…痛いとか恥ずかしいなんて気持ちは最初だけだから」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫