《MUMEI》

「俺も好きな人出来るかな」
二人が並ぶだけで空気が変わる。


「出来るよ〜……二郎は人より少しのんびりしてるだけだから。以外ときっかけは近くにあるものさ。」
太郎兄に言われてしまったよ……。


「あ、私同窓会行くんだった!」
由加里姉がバタバタと出掛けてゆく。


「いってらっしゃい」


「元気な妊婦だね。」
感想を述べてみた。


「本当にね。」
麻美は部活動で帰り遅いし、太郎兄と話すの久し振りだ。いっつも誰か周りにいるような人だったし。


「俺も叔父さんかー。
由加里姉が前より雰囲気が柔らかくなってて驚いた。相変わらず無茶苦茶やるけど。




俺さー、由加里姉の事好きだったんだよ。」
なぁんちゃって。
七生の敵討ち〜……。鳩が豆鉄砲食らったような顔している。


「駄目だよ由加里は、俺の奥さんだから。」
真顔で言うところがまたムカつくくらいにお熱いこって。


「冗談だよ、やだな。」
やだな……。

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