《MUMEI》

「うわ超見えねぇ」
廊下で斜めに歩く七生と遭遇した。


「どこで手に入れたのその眼鏡。」
七生が俺の背中に隠れる。


「返せ馬鹿!」
凄い形相でこっちに向かって走って来た。
あれは同じクラスの南 涼太だ。


「さっきのこと謝るまで返さねぇからな!」
俺を盾に眼鏡争奪戦が繰り広げられた。おいおい小学生かよ……

小さいの(現在の俺の身長171センチより下)二人にうろちょろされると迷惑なので七生から眼鏡を引ったくり、南に返す。


「……すまん。」
一言だけ言って去って行った。南はいつも神経質そうで七生に厭味を飛ばしているイメージだったので、今の反応は新鮮だ。


「ムカつく!
涼太のやつ!再来年は廃部とか、俺が賞に入ったのは偶然だとか!」


「廃部については的を得ているような……」


「そんな筈はない!俺達の代で放送部を盛り上げていくんだからな!」
 ……すぐデカイこと言う。まあ、


「悪くないね。」

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