《MUMEI》
怪我の功名…?
.
‘穴があったら入りたい’
という言葉はまさに今この、司が置かれている状況下で使うのだろう。
ベタな引っ掛けに驚き、しかも好きな子の目の前で雄叫びを上げるという醜態を曝し、揚げ句の果てには笑われている。
「はぁ。最悪…」
「まぁまぁ、そんな事言わずに!ね?」
「え?あ、うん…。」
しかし世の中には、意外な展開というのが存在する訳で。
まさか、これがきっかけで今日初めて優香との会話が出来るとは。
しかも自然体…。
「お?見えてきたぜぇ。」
悪戯の根元である懐中電灯を、アパートの方へ向けながら洋平は呑気な声で皆に呼び掛けた。
「これ、は…やべぇ。」
言い出しっぺの足が止まった。
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