《MUMEI》
怪我の功名…?
.
‘穴があったら入りたい’
という言葉はまさに今この、司が置かれている状況下で使うのだろう。


ベタな引っ掛けに驚き、しかも好きな子の目の前で雄叫びを上げるという醜態を曝し、揚げ句の果てには笑われている。


「はぁ。最悪…」

「まぁまぁ、そんな事言わずに!ね?」

「え?あ、うん…。」


しかし世の中には、意外な展開というのが存在する訳で。

まさか、これがきっかけで今日初めて優香との会話が出来るとは。

しかも自然体…。


「お?見えてきたぜぇ。」

悪戯の根元である懐中電灯を、アパートの方へ向けながら洋平は呑気な声で皆に呼び掛けた。






「これ、は…やべぇ。」


言い出しっぺの足が止まった。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫