《MUMEI》

「ちなみに何やるんすか?」



「花火。」



「またぁ!!?」



「嫌…なの…?」



「また花火ができるなんて幸せですッ!!」



「ちょっと待てお前らッ!!」



話の腰を折ったのは安本。



「花火って…どこでやる気なんだ?」



「学校。」



「できるわけないだろッ!!」



「安本さん…僕ね…こう思うんです…」



「……?」



「何事もやってみなくちゃわからない…って。」



「いやそういう問題じゃ…」



「クロ良いこと言うなぁ…」



「何で褒めてるんだよ!!」



「こう…胸にジーンと来る言葉だったな。」



「待て待て待て待て!!」



「じゃあ…決定だね。」



「しんみりまとめるなッ!!」



「ただクロ。問題があるぞ。」



「ん?」



「そりゃそうだろ。
学校で花火なんて…
しかも明日は大事な決勝が控えて…」



「俺ら…金ねぇ…」



「そこかよッ!!」



「おぉッ!!盲点だった!!」



「もう突っ込まないぞ…」



「らしくないっすねクロさん…」



「何だ椎名。」



「スポンサーなら…いるでしょ?」



チラッ…



全員の視線が安本に集まる。



「………出さないぞ。」



「おぉッ!!さすがウチの頭脳班だけはあるッ!!」



「だから出さないって。」



「ダメ…なんですか?」



再び上目遣いの3人。



「うっ………」



安本武徳。24歳。
彼女いない暦24年。



「い…1時間だけだぞ…」



女は男に勝ることを知る。

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