《MUMEI》
雨のち曇り
あれから、4年の月日が経ち、咲は高校生になっていた。


彼女は母方の姉夫婦の元に引き取られ、3年間そこで過ごした。


そして1年前、進学を理由に彼女は独り暮らしを始めた。


その頃、空っぽだった彼女にも趣味と将来の夢が出来ていた。


趣味は天体観測、夢は医者。どちらも、きっかけは家族の死だった。


今は入学した高校で医療の専門知識を学んでいる。


自分のように悲しむ人を生まないように、これ以上、無慈悲に人が命を落とさないように。そう祈りながら毎日を生きている。


その夢と同時に、1つの目標も立てた。


それは、


"家族を殺した犯人を見つけること"


たった1人の起こした行動が、咲の人生を大きく狂わせ、彼女に一生消えない傷を負わせてしまった。


しかし、例え見つけたとしても彼女に殺す気は無い。

医者を目指す彼女にとって、人は殺すものではなく、救うものとして考えているからだ。


夜空を見上げると、優しげな光を放つ星々がいっぱいに広がる。


咲は空を見上げながら、いつまでも、いつまでも、祈り続けていた。

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