《MUMEI》
膨らむ欲求
陽菜の泣き叫ぶ声を聞いたのは、初めてじゃない。



昔…、小学生の頃。
僕は陽菜の泣き叫ぶ声を、よく聞いていた。











──あの頃の僕は、
陽菜と毎日のように一緒にいたのに、自分から話し掛けることなんて、できなかった。

いつも陽菜が話し掛けやすそうな場所、見付けやすそうな場所にいて、陽菜から話し掛けてくれるのを、待ってた。





学校が休みの日は、陽菜のアパートの前をうろついていれば、家から出てきた陽菜が、僕を見付けて嬉しそうに笑いながら、声を掛けてくれる。




だからあの日も僕は、陽菜のアパートの前をうろついていたんだ。


けどその日は、なかなか陽菜がアパートから出て来なくて、僕は陽菜の家の近くまで行った。










──ガシャアァァーン!!!!







家に近付くと、大きな物音がして、泣き叫ぶ声と怒鳴り声が聞こえて、僕の体はビクンッとなった。

外からじゃ、なにを言っているのか聞き取れない。

僕はアパートの裏に、まわってみることにした。






「テメェ!その口のききかたはなんだよ!」

陽菜の家の小さな窓が少し開いていて、その声はそこから聞こえてきていて、僕はなんだかドキドキした。

「やだ!やめてぇッ!!」

中を覗くことはできなかったけど、泣き叫ぶ声が陽菜のものだってすぐにわかって、僕の心臓は更に大きく脈打った。







陽菜…。
怒られてるんだ…。

なにしたのかな…。

















僕は地べたに座った。


叩かれているような音と、陽菜の叫び声が聞こえる。









可哀想な陽菜…。

あんなに泣いて…。

家でお漏らししちゃったのかな…。









気付くと僕は、下半身を弄っていた。


叩かれて、あんなに泣いて…可哀想なのに、僕も頭の中で陽菜を虐めて泣かせた。








陽菜…悪い子だね…。

お漏らしして、パンツもびちょびちょだよ…。






僕は何度も何度も、頭の中の陽菜のお尻を叩いた。

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