《MUMEI》

何かに刺された。

そんな刺激を受けて意識を取り戻した。まぶたを開き、ゆっくりと上体を起こす。

どこかの小屋らしい。目の前には棚があり、本が並べられている。

辺りを見回そうと動いてみるが、全身から凄まじい痛みが走り、断念した。

思わず呻き、後ろに倒れ込む。そのお陰で、少なくとも布の上に居るのと、枕があることを理解した。

それ以外にも、視界の端に人影を見つけた。運んでくれた人物だろうか。

顔をそちらに向けるが、影はすでに何かの物陰に隠れていた。

声をかけてみる。

「おーい…っ」

ここまで出して、胸に激痛が走った。きっと肺に傷があるのだろうと予測する。

声は出せず、動くことも出来ない。何も出来ないので、枕に頭を預けることにした。

よほど疲れているらしい。すぐに微睡んでしまった。足音が近付いてきたが、もう遅い。

意識は静かに沈んでいった。

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