《MUMEI》

興味本位で頬をつついてみた。軽くなら大丈夫らしい。

どこまでやれば起きるのだろう。先ほどよりも強く突いてみる。

反応した。予測はしていたが、驚いた。跳ねるようにドアの近くの机の陰に隠れる。

男は起き上がる。しかしすぐに倒れ込んだ。よく分からない。

そっと見ていると、彼がこっちを向いた。慌てて引っ込む。

「おーい…っ」

声を出した。私を呼んでいるのだろうか。何にせよ、あの男が怖くなってきた。

少しすると、枕に頭を置き直していた。すでにうとうとしている。

もう少し様子を見ていると、寝息が聞こえだした。私はそれを信じて男の近くにある椅子に座る。

起き出さないかを確認した後、最初につついたくらいの力で指を刺す。起きなかった。

さっきはきっといきなり強くしたから起きたのだ。もっとゆっくりやれば大丈夫なはず。

ひたすらに男の頬をつつきまくった。

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