《MUMEI》

七生と家の近くの公園に寄った。ブランコに乗る。


「最近、俺変なんだ。」


「それは俺も思ってた。」


「寝ても覚めても全身を駆け巡って、普通にするのが大変で……眠った気がしない。」
七生は立ち漕ぎをした。


「毎日ぐっすり寝てるじゃない。」


「ものの例え!」
七生は立ったまま飛び降りた。それを横目に俺も挑もうとしたが転ぶ。
低い高さだとかえって躊躇してしまうようだ。四つん這いで着地した。痛い……


「あー砂まみれに。着地も普通が1番だな。」
普通が俺のアイデンティティ。
膝の砂を払う。まだ所々じんじんする。


「掌、怪我してる」
七生に手相占いのようにまじまじと見られた。1ミリ程の傷がある。

七生に傷口から血を絞り出された。


「う……っ、痛い!」
七生の後頭部で掌が見えない。


生暖かさとぬめる感じが掌の中でした。固いものが当たったとき、七生が素早くその場を離れ、一人で帰ってしまった。
――――――やっぱりおかしいぞ七生。

掌を見てみる。血が滲んでいた。そして傷口には濡れたような跡が輝いている。
これ唾液か……?じゃあさっきの固いものは歯だったのでは。ってことは、






えーと……、傷口を舐められた?

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