《MUMEI》

耳に違和感を覚えて、感覚が浮き上がった。同時に倦怠感も押し寄せる。

ダルい体を静かに起こし、辺りを見回そうとするが、激痛がそれを制した。

だが堪えれない程でもなかった。痛みが落ち着いてから深呼吸をする。

またも痛みが走る。深く息も吸えないようだ。

「参ったな…」

肺には響くが、かろうじて声は出せた。

出来るだけゆっくりと体を動かし、辺りを見る。どうやらベットで寝ていたらしい。

と、枕元に一人の少女がいた。突っ伏しているあたり、眠っているのだろう。

起こさないよう気を付けながら、部屋を観察する。

この子の部屋なのだろうか。それにしては難しそうな本がたくさん並んでいる。

扉のすぐ近くには机がある。何かを書かれた紙が積み重なっており、天板の材質が分からない。

なるほど、ここは少女の父親のモノなのかも知れない。

見えるところは大体観察し終わり、少女の邪魔にならないようにベッドから降りる。

痛みに呻きそうになるが、歯を食いしばって耐える。

代わりに少女をベットに寝かせ、自分は本棚を物色することにした。

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