《MUMEI》
幸せの始まり
俺は、キーホルダーからすぐに視線を外し前嶋の顔を見た。





さっきの女の子に負けない位真っ赤になっていて…


俯いていて…


そして、




指先も、いや、全身が震えていた。









これは俺が二年も前に、東京の土産だって前嶋に渡した、小さな小さなキーホルダー…。



塗装がすっかり剥げて、すっかり傷だらけになっている。










「……、…〜ッ」



「あっ!前嶋ッ!」






いきなり走りだした前嶋を、俺は…











とても幸せな気持ちで追いかけた。








―――もうすぐ、夏休みになる、そんな頃の、俺達の話…。










End

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