《MUMEI》

「あの…キース殿…」
「どうしたんだい?」

リビングに居たキース殿に扉の端に隠れながら話しかけると、ソファーで寛いでいたキース殿がこちらに向かって微笑みかけてくる。

「う…ι」

このままでは埒が開かないので、意を決してドアの端から恐る恐るリビングに足を踏み入れた。

「あの…用意して頂いてかたじけないのでござるが、このパジャマ…少々大きかったゆえ下はダボダボで履けなかったでござるよ…」

急なお泊まりという事もあってシャワーの後にキース殿に用意してもらったパジャマを着たのだけど、それは180cm以上のキース殿には小さめでも160cm台の僕にとってはサイズも大きくてトレーナーの上着だけしか着れなかった。

「あ///…そうだな、すまなかった代わりのは…」
「こ、コレでいいでござるよ///」
「そ、それでは見えてしまうじゃないか!」
「下着は履いてるでござる!」

かろうじて下着は隠れる程度の大きさのシャツだったので、それを着るとまるでワンピースのようになってしまっていた。

実は下着もちょっと緩かったのでウェスト部分を折って履いているのだけど、少々不安でもあった。

僕だって鍛えてはいるのに…やっぱり分かってはいたけどキース殿とこんなにも体格差があるんだと実感させられてしまった。


気を取り直してキッチンに向かうと、一通り眺めながらスーパーで買ってきた食材を手に取ってキース殿に向き直った。

「では用意するゆえ、ちょっとお待ち頂きたいでござるよ」
「あ///…すまない、そしてすまない!」
「えっ、何で謝るんでござるか!?お誘いしたのは拙者の方でござるよ///」

そう言えば、さっきからキース殿が後ろからじっと見ていたような気がしたけど…。

そう思ってキッチンからチラッとリビングの方を見ると、キース殿はジョンと取っ組み合って遊んでいた…きっと拙者の考え過ぎだろう。

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