《MUMEI》
夢見る
★11


 いつの間にか夜空を照らしていた月は海に沈み、代わりに海から真っ赤な太陽が少しだけ顔を出しているの。

「あ……気がつかないうちに、すっかり夜が明けちゃってた」

 ――あたし、夜明け前から大好きな貝殻の砂浜を目指していたのに……

「真夜中の幻想的な海を見たくて」

 ――もちろん、それだけじゃないの……

「あたしの命を救ってくれた……あなたに会いたくて!」

 ――そうなの。人が寝静まる貝殻の砂浜に居るはずのあなたに会いたくて……

「あたしは険しい岩場を登っては下りて、登っては下りて」

 ――ただ、ただ、あたしは唯一あなたに会いたい一心で……





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