《MUMEI》
入学
ジリリリリリリリリ―。
ううっ―。大きな伸びをした私は目覚まし時計を止める。もともと朝が苦手な私だけど、今日はいつもより、ちょっと早めの起床。だって・・・今日は入学式。
やっと着いたー。
私が今日から通うのは、聖フレリレッド女学院高等部。完璧的なお嬢様学校。(でも私はお嬢様じゃない。ちょっと家に余裕があるだけ)中学1年2学期くらいからここに合格するために毎日塾に通い、合格したときは、天に昇って行きそうなくらい嬉しかった。
「まぁ。城ヶ谷莉嘉(じょうがや りか)さんですか?」
不意に、後ろから、誰もが聞いてもお嬢様って感じのする声が聞こえた。
「・・・・!!」
振り向くと、そこには、超美人な人が立っていた。よく見ると、緑色のリボンをしている。ここは、学年によってリボンの色が違う。今年は、1年はエンジ色、2年は紺、3年は緑。来年は、1年が緑、って感じでまわっていく。っということは3年。かぁ・・・。ってか、へぇ?
「どうして・・・。」
「あぁごめんなさい。私、聖フレリレッド会、会長の野々村映美(ののむら えみ)と言います。お見知りおきを。」
「はぁ・・・。」
「あなたのことは、院長室でたくさん噂になっておりました。今回の新入生の中で首席で合格されましたから。」
「えぇ?」
そんなこと一回も聞いた覚えがないんだけど・・・。
「もしかして、聞いておられなかったのですか?あっ!新入生挨拶の件も?」
「えぇ?」
本日二度目。
詳しい話を聞けば、毎年、新入生挨拶は、その年首席で合格した人がやるらしい・・・
「ということは・・・。」
「はい、今年は、莉嘉さんです。」
「はぁ・・(もう、えぇ?っと言う気力もなくなった)でっ、でも私何も考えていません。」
「即席でお願いします。」
ふつう、お嬢様が「そくせき」なんて言うのかな?
「はぁ・・(本日二度目)わかりました。」
どうして入学初日からこんな憂鬱な気分にならないといけないんだろう・・・・・
そこはともかく、速く考えなくちゃ!

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