《MUMEI》

 辿り着いたのは部室棟。そこのとある一室。
何の躊躇いもなく初見の部屋のドアを開ける。
「お、キタキタ。遅いじゃんかよ」
「あら、遅かったわね」
他のクラスの部員が先に着いていた――いや、自分以外全員。
理由は簡単だ。
皆、空を飛んでショートカットして着たからだ。
校則では禁止されているが、例えば、特定の部活などで特別に許可される場合がある。
しかし、太一は空を飛ぶだけの魔法が使えない。故に遅かった。それだけだ。
 先ほど話し掛けて来たのは同じ高校1年の中学からの付き合いの御堂 聖夜と椿 未来だ。
 部屋には他に高一4名、高二7名、高三6名が居る。
高三が1人足りないが、各学年7名ずつなのは、1クラス1名ずつ選ばれてるからだと思う。
実際、今日が初めての部活動なので詳しい事、いや、詳しい所か部活内容すらしらない。
元々、帰宅部か剣道部になりたかったし、今日の朝、突然に担任にココに来る様に指示されただけだ。

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