《MUMEI》

ひとしきり話したのか、少女は口を閉じた。代わりに女性の方が喋り出す。

何か言い合っているのだろうが、一つも分からない。雰囲気的には、この余所者の安全性についてなのだろう。

(ふむ。しかし綺麗だな)

彼は女性を見てそう思う。

というよりも彼女らの間柄は何なのだろうか。姉妹が一番近い答えなのだろうが、親子というのも捨てきれない。

なにせ相手はエルフなのだから。

二人とも耳は尖っており、とても整った顔立ちだ。目は明るい緑色をしており、どことなく不思議な感じがする。

すらりと伸びる長く細い手足に、絹のような肌。

少女の方は見込みがあるが、残念ながらまな板だ。

(いつも聞く通りのエルフだ、問題無い)

呆けながら眺めていると、少女が拘束を振りほどいてこちらに駆けてきた。

後ろに隠れ、まるで盾にされているみたいだ。

背中から何かを言っているが、誰に向かって放っているのだろう。

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