《MUMEI》

異様な気配を感じ、女性の方を向く。

天使のような笑顔でこちらを見ていた。ただ目が笑っておらず、若干だが口元がひきつっていた。どこか恐怖のようなものを感じる。

つられて苦笑いを浮かべた。ついで文字を書こうとするが、まだ教わっていなかった単語なので辞書をひく。

「とりあえずこれで、っと」

少女の方に紙を見せる。今、女性に何かするときっと痴漢にされると思う。

彼女は彼の向こうをチラリと見て、露骨に嫌そうな表情で返事を書いてくれた。

それを辞書を使って解読する。

「やっぱりねえちゃんかー」

書いてくれた字は多かったが、分かったのはそれぐらいだ。良いことは書かれていないと思ったのだが、何故だろう。

持っていた紙に書ききれなくなったため、違う紙を手に取る。男は返事を書きだした。

「綺麗な…お姉さん…だね…と」

それを見せると、嫌そうな顔をされた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫