《MUMEI》

………………………………



     公園



夕方から夜にかけては近所の子どもたちが遊び回る。


学校が終わってからの2〜3時間程は賑わうこの場所も、


それ以外の時間にはほとんど人がいることはない。


     夜


明かりは外灯のささやかな程度で、


それこそ人などいるような時間ではないはずのこの場所に、


今日は2人の男の姿があった。



………………………………














「ん〜…ひっさしぶりだなぁ…」



「1年前と同じだな。」



「だなぁ。」



「まぁ、状況は違うけどな。」



「…今年が終わればマジで最後だからな。」



「…」



桜井・二ノ宮。


夜の公園、
そこにいたのは王者聖龍高校のエースと呼ばれる2人。



「去年はただ寝坊した時の為に和也ん家泊まったけど…」



「…今年は違うのか?」



「ん?いや、違わね〜や。」



「なんだよそれ…」



「なはははははは!!」



「…緊張感ね〜なお前は。」



「まさか。緊張はしてるっつの。」



「…はぁ?どこが?」



「緊張はしてる。
けど負けるとは思ってね〜。」



「それは俺も同じだな。」



「栄二の怪我は確かに不安だけど、


それ踏まえても赤高には付け込む隙がありすぎる。


個々の能力がちぐはぐだしな。」



「…けどお前そんな悪く言う程赤高のこと弱いとも思ってね〜だろ。」



「ん?何で?」



「赤高のセンターのこと。
実は結構気に入ってんだろ?」



「あぁ…あいつか。


確かに素材的には面白いけど、


まだ俺たちと対等にやり合うレベルには達してないよ。


1年後…ならわかんなかったけど。」



「へぇ…」



(遠回しだけど桜井が認めてるってことは、


やっぱいい素材なんだな。


1年後…同じ舞台に立てないのが残念だな。)

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