《MUMEI》

ドサッ…



「ふぅっ…」



自室に戻った猪狩はベッドに倒れこむ。


着ていた服は汗で濡れていた。



(何今更必死こいて練習してんだ俺は…)



準決勝終了後、
学校に戻り解散した応援陣。


帰宅後、
猪狩はボールを手に取った。


溜まったストレスをボールで爆発させた。


何球も何球も壁に向かって打ち続けた。


だがそれでも心は晴れない。


自分の中にあるストレスの正体に気付くことができなかった。


いや…


その正体を認めることができなかった。



「………」















………………………………



『古田はお前のことも考えてたんだぞ。』



………………………………














ふいに蘇る西野の言葉。



(俺の…何を考えてたってんだよ…)



むくっ…



起き上がる猪狩。



(明日は決勝か…)

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