《MUMEI》

「で?相手はやっぱ秀皇?」



ゴクンッ…



食べ物を飲み込む奥本。



「いや…秀皇は…負けた。」



「はっ……?マジか……?」



驚く奥本父・兄・弟。


父親は中学のハンドボールのコーチ。


兄は元ハンドボーラー。


弟は現在中三の現役ハンドボーラー。


まさにハンド一家と言うべきこの家庭の人間たちは、


秀皇が負けるという事態の異常さにすぐに気付いた。



「じゃあ…赤高が?」



「…だ。」



「マジか…」



「はは…すげぇじゃん赤高。」



「え〜、じゃあ俺進路赤高も視野に入れとくかな…」



「ちなみに秀皇はベストメンバー?」



「うん。むしろスタメンを1人温存してたのは赤高。」



(あのムカつくポストをな。)



「へぇ…いつの間にそんな強くなったんだ赤高は。」



「最近は結構毎年上位に来てたけど2強は初だろ。」



「強いん?」



「ん…まぁ…攻撃力はあると思う。


あと…ディフェンスは粗いけどキーパーが上手い。


そして良く走る。」



「ふ〜ん…


まぁディフェンスをキーパーが補えてんだろうけど、


結局間抜けりゃその分チャンスだからな。


そう怖がるようなチームでもないわけだ。」



「後は兄ちゃんが攻撃止めれるかだね。」



「俺は入れさせね〜よ。」



(特にポストには絶対。)



「勝算は?」



「あるよそりゃ。
いくら強くなったからって俺たちマジで強いもん。」



「ふ〜ん…」



(ま…名門でスタメン取ってりゃ当然な自信だわな。)



「明日も応援行くよ〜。」



「あ〜、うん。よろしく。」

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