《MUMEI》 しばらくして、皿に乗った「それ」が並べられた。 まずはスープのようなものだ。 どす黒いこれは表面に重い粘膜を張っており、逃げようとする泡を封じ込めています。時折『ゴプッ』という音と共に、卵の腐ったような香りがして素敵。 次に、真っ黒な、肉を煮込んだようなものは、ナイフを刺すと抜き忘れた血が噴出し、見る者の度肝を抜きます。 (こいつぁヘヴィだぜ…) 真っ黒な食卓に戦慄していると、彼女が不安そうに尋ねてきた。 「これ、キライだった…?」 うるうるとした泣きそうな目で見られた。その表情はガチで反則やでぇ…。 「だ、大丈夫だ、問題無い」 強がってしまった上にフラグを立てた。あれ? 死ぬしかなくね? 「じゃあ、食べた感想を聞かせてね!」 目を輝かせ、嬉しそうにしている。というよりもこの暗黒物質を食わねばならんのか。 スプーンを手に構え、目標をすくい取る。口まではもう少し。 (ここまで来たんだ、覚悟しよう) 口に流し込み、視界が暗転した。 前へ |次へ |
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