《MUMEI》 神の悪戯。************** バミュールルの町の深夜にて〜 「……私は…いつまで、独りなのだろうな…。」 ミシェルは、いつまで経っても眠れなかった。 ずっと、孤独を感じていなかったわけでは、なかった。 けど、関係無い人を傷つけない為には、孤独でいるしか、なかった……。 そして、いつか独りで居ることに慣れ始めていた。 だからこそ、今日少女が話し掛けてくれたことが、とても嬉しかった。 「………きっと、あの少女とは、もう…会わないだろうな。」 だけど、いいんだ。それで。 あの少女が傷付く事にならなければ、それでいい。 私だけで、いいんだ、傷付くのは…。 私一人で…いい…――。 ************ バミュールルの町の宿屋にて〜 『クラレ、大丈夫?道に迷わなかった?』 私は、夜泊まる宿屋を決めて部屋に入ると、お母さんに連絡した。 「うん、大丈夫だったよ。あのね、今日…不思議な少女に逢ったんだ。」 『そうなの、…出逢いは大切だからね。 良かったわ、うまくやれてるみたいで。明日か明後日には、帰ってきてね……。』 「うん、わかってる。じゃあ、お休みなさい…。」 『あっ、クラレッ……』 「ん、?なぁに、お母さん?」 私は、この時気づいてなかった。 『あ…う、ううん、何でもないわ。お休みなさい、クラレ…』 「????」 お母さんの声が強ばっていたことに……。 ―カチャ。 電話を切ると、私はひとり月のあかりを見た。 今夜の月は、とても寂しげだった。 それを、私はあの少女がどこかで悲しんでいるように思えた。 「……そうえば、あの子の名前聞いてなかったな。」 あの、店の人のせいで、少ししかあの子と話せなかった。 はぁ〜〜〜、また……逢えるかな? あの少女に……。 「逢いたいな…。」 ************* ?????にて〜 『まだ、“物語”は始まってないようね…。 罪人と清純な少女…、果たして理解し合えるかしら? クラレは、まだ知らない。“あの事”を。 ……、それを知ったとき本当の物語が始まるのよ。』 『ミャオーン?』 『ユナ…、でもね、それは…とても悲しくて絶望ばかりの物語…かもしれない、』 『ミャァ―…。』 『でも、ね…その物語はとても、輝くものとなるわ。』 『ミャオン?』 『そう終わらないと、いけないの。この物語を、…悲しいままでは終わらせては、いけないわ。』 『……ミャオン。』 ************* バラッセント教会の朝〜 「あぁ、神よ…人々に今日もたくさんの幸せを――。」 けれど…幸せとは、何なのだろう…? いつも、人々の幸せを祈っているが… 人々の幸せとは、一体何なのか…。 私の幸せは…。 罪を犯しても、なお…、生きることを許されている、 ということ、なのだろうか? 前へ |次へ |
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