《MUMEI》
神の悪戯。
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バミュールルの町の深夜にて〜


「……私は…いつまで、独りなのだろうな…。」

ミシェルは、いつまで経っても眠れなかった。
ずっと、孤独を感じていなかったわけでは、なかった。
けど、関係無い人を傷つけない為には、孤独でいるしか、なかった……。
そして、いつか独りで居ることに慣れ始めていた。
だからこそ、今日少女が話し掛けてくれたことが、とても嬉しかった。

「………きっと、あの少女とは、もう…会わないだろうな。」

だけど、いいんだ。それで。
あの少女が傷付く事にならなければ、それでいい。
私だけで、いいんだ、傷付くのは…。
私一人で…いい…――。







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バミュールルの町の宿屋にて〜



『クラレ、大丈夫?道に迷わなかった?』

私は、夜泊まる宿屋を決めて部屋に入ると、お母さんに連絡した。

「うん、大丈夫だったよ。あのね、今日…不思議な少女に逢ったんだ。」

『そうなの、…出逢いは大切だからね。
良かったわ、うまくやれてるみたいで。明日か明後日には、帰ってきてね……。』

「うん、わかってる。じゃあ、お休みなさい…。」

『あっ、クラレッ……』

「ん、?なぁに、お母さん?」

私は、この時気づいてなかった。

『あ…う、ううん、何でもないわ。お休みなさい、クラレ…』

「????」

お母さんの声が強ばっていたことに……。

―カチャ。

電話を切ると、私はひとり月のあかりを見た。
今夜の月は、とても寂しげだった。
それを、私はあの少女がどこかで悲しんでいるように思えた。

「……そうえば、あの子の名前聞いてなかったな。」

あの、店の人のせいで、少ししかあの子と話せなかった。
はぁ〜〜〜、また……逢えるかな?
あの少女に……。

「逢いたいな…。」









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?????にて〜


『まだ、“物語”は始まってないようね…。
罪人と清純な少女…、果たして理解し合えるかしら?
クラレは、まだ知らない。“あの事”を。
……、それを知ったとき本当の物語が始まるのよ。』

『ミャオーン?』

『ユナ…、でもね、それは…とても悲しくて絶望ばかりの物語…かもしれない、』

『ミャァ―…。』

『でも、ね…その物語はとても、輝くものとなるわ。』

『ミャオン?』

『そう終わらないと、いけないの。この物語を、…悲しいままでは終わらせては、いけないわ。』

『……ミャオン。』







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バラッセント教会の朝〜



「あぁ、神よ…人々に今日もたくさんの幸せを――。」

けれど…幸せとは、何なのだろう…?
いつも、人々の幸せを祈っているが…
人々の幸せとは、一体何なのか…。
私の幸せは…。
罪を犯しても、なお…、生きることを許されている、
ということ、なのだろうか?

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