《MUMEI》

 太一は居合いの構えを取る。ドアとの距離は1m30cmと言った所か。
「いい距離だっ!」
 直後、ドアが真っ二つに斬れ、音を立てて崩れる。
太一は必要の無くなった刀を手放す。すると刀は剣先から音も立てず消えていく。
 後ろから小さく拍手が聞こえた。振り向くと、
「終わりましたか。去年より7秒遅いですね。まぁ、最初から彼が動いていればもっと早かったでしょうが。さて、今日はこれでお開きです。放課後は集まる必要はありません。」
 水谷がそう言うと、高二、高三の部員は無言で部屋を後にしていく。
恐らく彼らはドアと窓に魔法を掛ける為に居たのだろう。
最初から魔法で打ち勝てるはずが無いのだ。相手は上級生13人。7人では到底勝てない。
 太一はその事にいち早く気づき、魔法攻撃ではなく物理攻撃で壊すことを考えた。予想通り、刀で簡単に斬り壊せたのだが、
「たーくん。そんな魔法使えたの?」
「少なくとも俺は見たことないぜ」
中学から隠していた秘密が一つ減ってしまった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫