《MUMEI》

まだ小さすぎた。

小さすぎて、何も分からなかった。


私の頭からは多分、血が流れていた。

もう、フラフラだった。


そして、近くにあった木刀を振り上げる。


…もう終わりだ。


そう思い目を思い切り閉じた。


ーーーガンッ


鈍い音が響く。

木刀が落ちる音もした。

だけど痛みはなくて。


目を開けると、お母さんが倒れていたの。


「…お母…お母…さん?」



お父さんは、何も言わずにその場を去った。


私の見間違いかな?


お父さんの瞳から、涙が流れていたんだよ。



気を失って、目が覚めると病院で。


「…ごめんね…言いづらいんだけど…」


その場にお父さんの姿はなかった。

看護師さんは涙を流しながら、まだ小さい私に、お母さんは逝ってしまった、と、伝えてきた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫