《MUMEI》

首に剣が接触する直前で飛び起きる。変な夢を見た。

首が気になり、触って確かめる。やはり夢らしい。

安堵の息を吐いていると、今の動きで起きたらしい姉が、ソファーの上から不機嫌全開でこちらを睨んだ。

彼女は寝間着を着ていた。彼を殴り飛ばした後に着替えたのだろう。なんにせよ似合っている。

すまなさそうに会釈して、平謝りしておいた。きっと許してくれるはず。

そんなはずもなく、側まできて文句が書かれた紙を見せられた。

内容が微塵も分からないが、辞書を引けば読める程度だろう。

とりあえず分かったフリをして頭を下げておく。ここまでしたら流石に許してくれるだろう。

頭を上げた時に、また紙を見せられた。さっきとは違う文字が書かれている。

これは読まないとマズそうなので、辞書を探す。離れた机の上に置いてあったのを彼女に取って貰って、解読を始める。

「散歩…付き合う…許す…か。一緒に散歩しろってか」

賛成の意を込めて彼は頷いた。

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