《MUMEI》

誰の手も入れられていないのに、美しく存在するこの庭こそ、封印するべきモノだった。

「キレーなものまで封印するなんて勿体無いと思うけどぉ。危ないんじゃ、仕方無いよねぇ」

へらっと笑い、雛はガーデニングの中心部にある噴水の場所へ向かった。

そこには水瓶を持った女神の像があった。

ただの石像だったが、雛が近付くにつれ、少しずつ震え始めた。

「こんばんわ! 早く部室に行かなきゃいけないから、とっとと終わらせましょ!」

明るく言うと、石造の眼が赤く光った。

それと同時にバラの棘の蔓が伸びて、雛に襲い掛かった。

「よっと」

しかし雛は軽々とかわす。

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