《MUMEI》

コイツは頭の良さもそうだが、女の子にモテることでも指折りだった。

「女の子に興味ないもん、俺」

サラッと爆弾発言していないか? コイツ。

「おっお前ってその…」

「ん? ああ、真性ってワケじゃないよ。男とキスしたいと思ったのって、お前が始めてだし」

そう言ってニヤッと笑われても…。

「ねぇ、ダメ?」

メガネごしに上目遣いするなー!

それにねだるように近寄っても来てほしくない!

「いや、あの、な」

しどろもどろになり、後ろに下がろうとした。

けれど一早く、両腕を掴まれ…キスされてしまった。

「んんっ」

薄い唇が、オレの唇に触れている。

そう思っただけで、心臓が耳障りなぐらい高鳴ってくる。

「んっ…。どう? イヤ?」

「イヤじゃ…ないけど」

むしろ口の中が甘い―。

「そっか、良かった」

嬉しそうに笑うと、もう一度キスしてくる。

「ちょっ…待てって…!」

「やぁだ。言っただろう? 好きだって」

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