《MUMEI》

こそこそと隠れながら、彼らは家を出る。男の勝手な外出は認められていないらしい。

廊下を歩いて、改めて大きな屋敷だと思う。余裕でかくれんぼが出来そうだ。

しかも部屋も沢山ある。にも関わらず、何故姉と同じ部屋なのだろう。

きっと監視の為だ、そう自分の中で決めて納得する。

屋敷なだけあって、家政婦さんが居た。昨日は休みだったようで誰も居なかったが。

通り過ぎる自分たちを見ても、誰一人として挨拶しなかった。

彼女は屋敷を歩いている間は複雑な表情をしていたが、出て行くと悲しそうにしていた。

出て、すぐに彼の服の裾を掴む。簡単に離れないようにするつもりだろうか。

が、近くを人が通る度に、彼女は男の影に隠れる。極度の人見知りらしかった。

持ってきた辞書を開いて、姉に目的地を聞く。

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