《MUMEI》
悲しみのはじまり
ババババン
銃声が聞こえる…
ここは戦争の場人間と怪物が戦っている
グサッ…
誰かが人を刺した音…
ドサ…
そして人は倒れる人は簡単に死ぬ
グサッ…
また人を刺した音…
人を刺した人がこちらを向く
赤い目を光らせて…
「んっ あっあれっ?夢?」
あの戦争は夢みたいなぜあんな夢を見たのか不思議に思う私
「小夜降りてらっしゃい ご飯よぉ〜」
「は〜い」
私は返事をしながら二階から一階へと降りていった
「おはよう小夜」
「おはよ〜 お母さん」
この人は私のお母さん、藤谷 恵子そして私の名前は藤谷 小夜
今日の朝ご飯はいつもと変わらぬイチゴジャムつきのパンをほうばる
イチゴの甘酸っぱさが口に広がる
んー 美味しいねぇ
そしていつもどおり三枚ほど食べてから――…
「いってきま〜す」
いつもどおりの通学路を歩く
そしてある女もいつもどおりに私の所まで走ってくる
「さ〜やちゃん・」
「鈴音おはよ…」
ある女とはこの子安達 鈴音
この南中学校に入学した時独りだった私に話しかけてくれた子
そして私の――…親友でございます
恥ずかしい…
「鈴音!!あのね今日の夢で――…」
あっ頭がガンガンする
「どったの?」
小さくうずくまった私に声をかけてくれる鈴音
「だいじょーぶ 一瞬だけだったから」
いつの間にか頭痛は消えていた
「そっか…ビックリだよぉ〜」
言葉のどおり一瞬だけだった神様は夢のことは言うなって言ってんのかな
「こんな時間!!早くいくよ!!」
「…うん」
大丈夫誰にも言わないよ私の心のなかに入れておくから

『運命はいつも突然くるんだよ♪小夜――…』

「ただいま…おっわぁ〜!!」
「おかえり 小夜」
びっくりしたわぁ〜
だってドア開けたらお母さんが正座して待ってたんだよ!!
「どっどうしたの?」
不思議で聞かずにはいられなかった
「こっちに来なさい…」
いつになく真剣な顔をしていたその顔には寂しさの色が見えたお母さんはあまり広くない家の廊下を歩き出した――…
そしてある場所で止まった
私の入ったことのない部屋その部屋はなにもない部屋だった
お母さんはある箱からなにかを出した
「……戦いなさい 小夜!!」
お母さんはそう言うと私に剣を渡してきた傷1つついてなくきれいな剣だった持つところには桜の柄があったでもこの剣どこかで――…
「ごめんなさい こんなこと言っても意味がわからないわよね…」
ただ泣きそうな顔をしているお母さんを見ていることしかできなかった
「小夜がね――…人を食らうものを倒さなくては人は皆死んでしまうの だからお願い奴らを――…倒して小夜!!」
お母さんは泣きながら私にしがみつく
『人を食らうもの』?
『人が死ぬ』?
『私が殺す』?
意味のわからない単語が頭のなかに浮かんでる
「意味がわかんない――…」
私が『人を食らうもの』を殺すの?
いや殺せるのかしら?
怒りが私のなかで爆発した
「私は人間よ!!そんなわけのわからない奴と戦うなんてムリだから!!」
そう私には無理な話剣道部でもない私が『人を食らうもの』殺せるはずがない
「もうね…時間がないのよ……時間はちゃんと動いているの…小夜――…」
キッっと私を睨む燃え上がってる炎のなかに寂しさの色がまた見えたそれを見てると私は泣くことしかできなかった
涙がポロポロと床に流れていくそれから私はなき続けた
怖かったから
戦うことを想像すると怖いイメージしかないから


私はいつの間にか眠りについていた
そして私は無意識のままなにかを飲んだ
とても美味しい飲み物を――…
でもそれはなにかがわからない…

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