《MUMEI》 『無い』 急遽思い付いた計画だったようだ。外に出たかったと供述している。 散歩するにしても、いつも歩くコースというものがあるはずだ。それと、ついで所要時間も尋ねた。 『無い』 今日から日課になるらしい。時間も未定だそうだ。非常に困った。 行く宛がないのではスタート出来ない。とにかく動かなければ、屋敷から追っ手が来そうだ。 気が付けば、怪我の事を忘れていた。もうそれぐらいの所まで回復しているのか。 軽く準備運動をして、各関節の調子をうかがう。多少動きにくいぐらいで、問題は無さそうだ。 自分の準備は済んだので、彼は背中にいる女性が動くのを待った。 しばらく見ていたが、彼女から動く気はないみたいだ。後ろに隠れたまま一向に出てこない。 じっとしていても仕方がないので、彼は一つ提案する。 街の中を案内して貰うのだ。土地勘が微塵も無い者にとってはかなり意味のある行為だ。 いざという時の逃げ道など、教えて欲しい事は沢山ある。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |