《MUMEI》

(わかってる…確かに今日の相手は格上だった。)



今日の相手。
それは鈴木にとっては千葉を意味していた。



(さすがに二ノ宮と肩並べるだけあってレベルが違う。


けど、
もっとやりようはあったはず。


こんなんじゃ皆に顔向けできねぇよ。


ウチは皆他の学校ならスタメンになれそうな奴がゴロゴロいる。


にも関わらず俺がスタメンに選ばれてんのは理由がある。


個人の攻撃力とチームの攻撃力。


その両方を買われてるからだ。


個人の攻撃力だけなら俺よりある奴もいる。


大きな要因はむしろチームの攻撃力に貢献してるからだ。


広瀬・阿久津・桜井。


この3人との連携が上手いからこそ監督は今のスタメンを最強だと思ってる。


なのに…だ。


今日の俺は個人の勝負に拘ってどっちの要因もマイナスに働かせてた。


チーム力あっての個人力。


こんなんじゃ明日もまたボロ出す。)



今日の試合。


鈴木に大きなミスがあったとは言えなかった。


しかし、


自分では納得ができなかった。


普段以上の働きが出来なかったこともまた事実だからである。


練習試合では二ノ宮を抑え得点王に輝いたこともある鈴木。


乗った時の破壊力はチーム全体が認めていた。



(明日の相手は市内リーグで千葉を抑えて得点王になった赤高のキャプテン。


下手なわけがねぇ。


直接マッチアップしたことはないけど、


わかるさ。それくらい。


けど…いいんだ。


ちょうど良い。


たるんだ心境のまま全国には行けない。


明日…


あいつを倒して全国に行く。)

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