《MUMEI》
一巡り
 


   「 ……ン 」
唇が あつい。息が止まりそうだ。


七生の顎を押して引き剥がした。



「カレー臭い。」
テーブルの向かいに座り直し、唇に指をあてて笑っている七生を見ていたら熱が体中に回ってきた。



「…………う。 うわああああああああ!」




 混乱  困惑  混迷


めちゃくちゃに暴れる。その辺の床にある服でもなんでも投げまくった。涙だか鼻水だか分からんものが出ている。


「ゴメン でも、 これが 俺の本当の気持ちなんだよ!」
言葉と行動がちぐはぐ!謝るならどうして羽交い締めにするんだ!



情けないのか?

男にキスされたことが?
いや、俺が七生の心に気がつけなかったことだ。





「……なんで泣いてんだよ」
七生も泣いていた。こいつが泣いているの見てたら冷静になってきたし……。


「二郎がすき……すきぃ………………」
馬鹿正直に告白してきた。熱烈過ぎ。体重い。


「他にもっといい人見付かるよ。」
七生なら彼女志望の女性が引く手数多だ。


「俺のこと嫌い?キモい?チビだから?」
依然として攻めの体勢は崩れない。
黒目大きい……下から見つめられるとヤバイかも。


「七生のこと嫌いな訳無い。俺の親友だから……。
……ゴメン、意味分かるよね?」
俺ってば超優しい。

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