《MUMEI》 みんなの華=僕の華?僕が気が付いたころにはもう桜は咲いていなかった。 春が終わり、夏が来たのだ。 このクラスにはかなり馴れて仲の良い友達が増えた。 特に、漣波怜(さざなみれい)と仲が良くなった。 僕は陸上部に入部した。怜も同じく陸上部に入った。 僕は短距離、怜は長距離。 怜は小学校のころは水泳部だったらしく、持久力には自信があったらしい。 案の定怜は、入部してすぐ大会に出て、活躍していた。 僕もそこそこ速かった・・・・と思う。 初めての大会の結果は“13"84で2位”。種目は100m。 「うん。まぁまぁかな?」 「で、怜はどうなんだよ?」 「ん?俺?俺もまぁまぁだな!」 怜の結果は“2′32で2位”。ちなみに800mだ。 「なんだ同じかよ!?」 「みたいだな。次は負けねぇから!」 こんな会話をしていた。しかしよく考えると変な話だ。 だって、僕は短距離、怜は長距離。全然違うし!! 何で争ってんだ!?僕は?? でも部活は楽しかった。練習メニューはきつすぎて死にそうだけど・・・。 僕たち陸上部男子は大会の話も好きだったが、恋バナも好きだった。 なぜって?そんなのからかうためだろ?? そんな中、僕は同学年のなかで一番もてる・・・と思われるヤツに告られた。 みんなは、“かわいい”といって“俺たちの華だ”といっている。 でもぼくはそうは思わない。なぜなら・・・・・・。 僕の華に僕は会えない。 だけど目の前のこの子をふるのもイヤだった。 だから僕は仕方なくOKしたんだ。 僕は隠し事が嫌いだ。だから僕は彼女に告げた。 「僕、好きな人いるけど・・・・?」 と。すると彼女は「それでもかまわない!」 といった。その日から僕たちは付き合うことになった。 次の日。 怜と祐介がいつものように僕のところに来る。そして、 「なぁ、おまえアイツと付き合ってんの!?」 「?アイツって誰だよ??」 「決まってんだろ?鈴木柚子だよ。」 鈴木柚子・・・・・?あぁ。昨日告ってきたあの子・・・! ・・・つぅか何でコイツら知ってんだ??なんて考えながら僕は怜と祐介に答えた。 「んん・・・?まぁ・・・・な。」 「うぉ!!お前やっぱもてるな!!」 「何でそうなるんだよ!?」 「だって俺らの華だぜ!?柚子ちゃんはよぅ?」 ほぅら来た。“俺らの華”。僕の華はあの子じゃない。 僕は彼女が好きだ。・・・・・・・華恋・・・・・・・・。 もう、二度と会えないと分かっていても、あの日僕が傷つけてしまった、 と知っていても、好きだ。なぜ僕はあの日は素直じゃなかったのだろう・・・? 今頃後悔している僕がいる。 ーねぇ、今キミはいったい何をしているの? ーねぇ、この声は本当にキミには届かないの? お願い神様。僕のこの願いを、聞いてくれ・・・・・。 前へ |次へ |
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