《MUMEI》 「お兄ちゃんってさ、結局恋神様の事、どう思ってるわけ?」 翌日、早朝 出勤前、無言で朝食を口へと運んでいた三原へ、妹からの問い掛け その余りの突拍子のなさに、飲んでいた味噌汁をつい吹き出してしまっていた 「汚っ!ちゃんと拭いてよね、ほら!」 食卓へと散ってしまったソレに、妹が投げる様に付近を寄越してくる 誰の所為だと内心毒づきながら一応は受け取り拭く事を始めれば 「ま、お兄ちゃんのことなんてどうでもいいや。それより」 急に話を切り替え、また話し始める妹 行き成りどうしたのか、言い難しそうに口籠る 珍しく恥じらう様なその様に三原は怪訝な顔 中々口に出さない事に焦れ、続きを促してやれば 「……あの、ね。恋守と、恋絵馬、買って来てほしいんだけど」 「はぁ?」 唐突な申し出 つい聞き返してしまえば、妹は顔を赤くし、三原を睨みつけていた 「な、何よ。私に好きな人が居ちゃおかしい訳?」 「別に」 「何か、馬鹿にしてない?」 「してねぇよ」 突然に癇癪を起こしたかの様に怒りだしてしまった妹へ 三原は僅かに溜息をつくと、その頭へと手を置いてやりながら 「……わかった。買ってきてやるから、そんな喚くな」 これ以上騒がれるのは面倒だと、承諾してやっていた 俄かに機嫌がよくなる妹 鼻歌まで詠いながら、嬉しそうに自身の身支度を始める 「……恋愛、ね」 恋愛というモノはそれほどまでに楽しいものなのか ソレがいまいち理解出来ないでいる三原 小首を傾げながら残りの食事を全て平らげると、身支度を始めたのだった…… 前へ |次へ |
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