《MUMEI》
人を食らうもの前編
「いってきます」
いつもと変わらないはずなのに私だけが違う――…
そんなことをずっと考えていた
「待って小夜!!」
急にお母さんが呼び止めた
あまり話したくなかったなぁ
――…と思いながら
「どーしたの?」
と聞く
「これを渡そうと思ってね♪」
お母さんは昨日渡そうと思っていたと思われる剣を渡してきた
「入らない!!」
ちょっと怒りすぎたかも
私は怒りが爆発しそうだった
でもがまんがまんと心でとなえた
「いいえ……あなたにはいずれ…いや今、必要になるかもしれないものなのよ」
お母さんは剣をなでなでしながらそう言った
私はしょーがなく剣を受け取った
そうしたらお母さんは笑顔をくれた
「……いってきます」
「いってらっしゃい」
家を出てゆっくりと歩き出す
必要になるかもしれない剣を持ち
昨日のお母さんのことを思い出していた
人を食らうもの――…
そんな言葉が頭をよぎった
…もしかしたら人を食らうものが出るのかも!?

そしていつもどうりの学校が始まった――…


――…そしていつもどうりの学校が終わった
「鈴音バイバーイ」
「うん バイバイ☆」
なんなの!?
なにも起こらないじゃない!?
誰もなにかが起こるとは言ってないのに1人でプンプン怒って帰っていた
そしたら急に――…
「……うっ……」
頭痛が来た
私は頭痛の辛さに座り込んでしまった
誰かの声が聞こえる
『…オマエガ…小夜カ…?』
頭に誰かの声が聞こえた
響く声を――…
でもなんで周りは普通なのかしら?
私だけ?
もしかして私だけがこいつの声が聞こえるの?
『ミズウミニ…コイ モシコナケレバ人ヲ殺ス』
人を殺すですって!?そんなの行くしかないじゃない
走っていたらだんだんと頭痛はなくなっていた
湖――…
近くにデッカイ湖がある
そこで良いのかしら?
まぁ良いわ
行くだけ行くのよ小夜!!
「ついたわよ どこにいるのよ!?」
頭に響いていたはずの声は聞こえず、湖にはお地蔵様がいるだけで人の姿は見えない
『オヌシガ小夜カ?』
聞こえる
どこにいる?
辺りを見渡すが人の姿はやはり見えない
それにしても今度は頭に響かない
『……小夜……オマエヲ殺ス…』
へ!?
なんでなんで私なのだ?
悪いこともしてない私がなぜ殺されなくてはならない
グググ
あっ
あっ
なんでお地蔵が動き出すのだ?
どーしよ
お地蔵のカマキリみたいになってしまってる
あんなので切られたらバラバラ事件だわ
ポトッ
なにこの液体――…
『ノメ!!』
赤い液体――…
飲みたくない
不味そうだし
お地蔵の顔が凄いし
バラバラ事件にはなりたくないし
キュポッ
びんのふたをとる
その音がやけにはっきり聞こえる
ドクンドクン
心臓の音が早くなるのがわかる
ゴク…

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