《MUMEI》
人を食らうもの後編
あっ
あっ
なんでお地蔵が動き出すのだ?
どーしよ
お地蔵のカマキリみたいになってしまってる
あんなので切られたらバラバラ事件だわ
ポトッ
なにこの液体――…
『ノメ!!』
赤い液体――…
飲みたくない
不味そうだし
お地蔵の顔が凄いし
バラバラ事件にはなりたくないし
キュポッ
びんのふたをとる
その音がやけにはっきり聞こえる
ドクンドクン
心臓の音が早くなるのがわかる
ゴク…
「あっ……」
映像が……
遠い昔の映像が…
あっ
あっ
すごいスピードで流れていた映像が急に遅くなった
止まった映像は髪の長い女の子の後ろ姿だった
手には血に染まった剣を――…
服装は白いワンピースのはずだった服は赤い血がところどころについていた
そして彼女は静かにこちらを向く――…
長い髪がそよ風に揺れる
あのときの夢と同じ人だった
そして
赤い目をしていた
その子は口を開きなにかを言い始める
『き…………て』
彼女はなにかをいったはずだが頭のどこかでひっかかりうまく聞き取れない――…
『オモイダシタカ?』
それが聞こえると同時に現実に戻った
『ナニカイエ!!』
動き出すお地蔵は怒り出した
でも私の耳には入ってこない 音も声もなにもかも聞こえない
私は無意識に剣を取りだしさやをぬいた
だんだんと違う自分に変わっていく気がする
なんでかな?
怖くない――…
どんな自分でも受け入れれると思うの――…

ここから私の記憶はなくなっていた
どんなに思い出そうとしても無理だろう

そしてお地蔵を見た
そしたら死んでいた そして湖には血が流れていた
そして見てしまったのだ 私の顔が…
私の目が――…

赤くなっていた

「どーして私が……」
『だからあなたは私なんだよ♪』
私の目の前には私がいた
……違う 夢の中の人だった 夢でみたとうり白いワンピース……いや白いワンピースであったものを来ていた
「あなたは私なの?」
聞かなくてはならないと思い、思わず聞いてしまった
『私は小夜 あなたよ』
「違う!!私は……私は1人だけよ」
私は1人しかいないわっ
人間は同じ人なんていないもの
いるはずがないもの!
私はパニック状態になっていた
どーしたら良いのかわからない――…
お母さん助けて――…
『戦いなさい 小夜!!』
こんな言葉を思い出しもっとパニック状態になってしまった
「いやだ!!戦えない!!人を食らうものなんて殺せないわ!!」
『じゃー 人が死ぬのをしっかりと見ることだね』
えっ――…
『なんて顔してるの?人を食らうものは字の通り人を食べるものよ…小夜しかねコイツらを殺せない仕組みになってんの』
私しか殺せない?
私――…
人が死ぬところなんて見たくない
じゃー私は人を食らうものを殺さなくてはならない……
人を守るために――…
「私は……人を食らうものを殺すわ」
『そうよ…あなたにしか出来ないことなのだから――…』
私は消えてしまった
最後の最後で笑ってくれた

そして私はまた無意識になにかを飲んだ…
美味しい美味しいなにかを――…

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