《MUMEI》

大きく一歩踏み込み、大振りなパンチを打ってきた。

少し下がり、難なく避ける。Bの背中がガラ空きになるが、攻撃はせずに距離を置く。

少し離れた所にいたCが立ち上がる。転んで打ったのか、激昂したのか、こちらも顔が赤い。

丁度挟み撃ちになるような位置にCはいた。

後ろから来る悪漢に気付いた姉は、強く裾を引っ張る。正面で暴れるチンピラから隙を見、彼は振り返る。

すぐそこまで来ていた。彼女を抱き上げ、立ち位置を変えようと走る。

いつの間にか周りを囲うようにギャラリーが出来ていた。こんな所で喧嘩すれば、当然か。

割って入ろうとしたが、無理だった。追い付かれたからだ。

抱えていたものを下ろし、構えた。多少の心得はある。

正面に二人が立ちふさがる。よく見なくてもイケメンなのが悔しい。本気でブチギレているようで、息がかなり荒い。

いきなりBのハイキック。屈んでやり過ごした。

そこにCがパンチを繰り出してきた。コンパクトで鋭い。

腕で守り、戻っていく手を掴む。

思いきり引っ張り、引き寄せた相手の鳩尾に一撃。

キレイに決まったようで、Cは腹を抱えて膝をついた。

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