《MUMEI》
羞恥
「きゃああぁあぁあッ!!」

「ほら…ちゃんと数えなきゃ」

あまりの痛さに悲鳴を上げたけど、大人しく眞季の言うことを聞くのが嫌で、私は眞季を睨んだ。

「…いや……アンタなんかの言うこと絶対聞きたくない…」

「そうなの?悲しいな……ちゃんと数えなきゃ終わらないよ?」

そう言って眞季は再度、私のお尻を叩いた。
同じ場所を叩かれると、その痛さは一回目と比べ物にならなくて、私の悲鳴は更に大きくなり、呼吸も乱れた。

「痛くないの?素直に言うこと聞かないともっと痛くなっちゃうよ?」

わかってる…。


わかってるけど…眞季の言うことを聞くのが、悔しかった。


悪いのは私だけ…?
裏切ったのは私だけじゃない、眞季だって私を裏切った…。

ここで自分の非を、認めたくない。
昔みたいに…お兄ちゃんのときみたいに、我慢してれば、すぐに終わる。


そう思っていたのに、眞季は、何度も私のお尻を叩いた。


何度も、

何度も…。




もう限界だった。
私のお尻は、肉が裂けてしまっているんじゃないかと思うくらい痛くて、意識も朦朧とする。


もう謝ってしまおうか…。

お兄ちゃんにしたみたいに、眞季に謝ってしまおうか…。


そう思った瞬間、また空を切る音と共に、あの乾いた音がして激痛が走った。


声にならない悲鳴が漏れ、私の太股に温かい液体が流れた。


どうして……



「……陽菜…お漏らししちゃったの?」

どうして…こんなこと……

「大丈夫だよ、泣かないで?全部綺麗にしてあげるからね」

……違う…


あたしはもう…大人になったのに…


普通になれたのに……

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