《MUMEI》 怯んでいる暇は無い。顔を上げ、周りを警戒する。 気付けば皆、呆然と立ち尽くしていた。そんなに酷い顔になってるのか。 Aがたじろいだが、また手のひらをこちらに向けた。 悪いと思いながら彼女の手を払い、正面に全力ダッシュ。 「おあいこって事で!」 不意の事に反応出来なかったAは、10mぐらいの距離を一気に駆け抜けてきた彼に顔を殴られた。 ぶっ飛ばしたのを見ずに、すぐに姉の方に引き返す。 案の定、彼女は戸惑ってばかりで棒立ちだった。あうあうしてるのも可愛い。 あまり長居は出来ない。沢山の観客が居たとはいえ、これ以上見られるのはよろしくない。 彼女の手を取り、立ち去ろうと歩き出すが、彼の腕を見た途端に止められた。 すごいしかめっ面だ。焼けた腕に手をかざし、早口に何か言い出した。 それと同時に、微量ながら痛みが引いてきた。心なしか、手のひらから緑の光が出ている気がする。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |