《MUMEI》 絶体絶命「そこまでだ、零翁(れいおう)。」 「龍桜(りゅうおう)・・・。」 「貴様、なぜ神皇(しんおう)様を裏切った?」 零翁と呼ばれた男は、屈強な男たちに追い詰められていた。 零翁はふっ、と息を出す。そして、両手を広げ、言った。 「つまらないからだ。この世界が型通りに動いていくのがな。」 「ふん。それを変えるなど不可能なこと。本当に変えることができると思っ・・・。」 「変えたいとは思わないか?」 「・・・。」 「俺は変えてえ。」 「無理だ。貴様はここで死ぬ。」 「そいつはどうかな?」 零翁の右手に光が集まる。 それが弾けたかと思うと、一本の刀が現れた。 「月斬(つぎり)か・・・。」 月斬。別名、光惟邏祇(ひいらぎ)とも呼ばれる名刀だ。 「戦うか。いいだろう。我が手をもって死なせてやる。」 龍桜の手ににぎられたのは、鬼姫(おにひめ)と呼ばれる太刀。 二人が交錯した。 龍桜が右から左へ鬼姫を振るう。 零翁はそれを月斬で弾き、右足で龍桜の腹を蹴る。 龍桜の体が飛んだ。 「ぐ、ごおおおお!?」 そして、男たちの中に落ちる。 「龍桜様!」 「大丈夫だ。」 そう言って、龍桜は立ち上がる。 「来いよ、龍桜。志の違いを見せつけてやる。」 零翁はそう宣言した。 次へ |
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