《MUMEI》

私が鈴堂学園に通うということになってから、時が流れるのは早かった。


小学4年は…最悪な一年だったな…。

両親がいない。

それだけで周りからは珍しがられて、イジメ。

性格の悪い親戚の家での生活。


おばさんが来てくれなかったら、私はずっとこんな暮らしをしてたんだろうな…。


…私、星岡梓は、この春から東京の学校へ通う。

鈴堂学園。

どんなところで、どんな子たちがいるんだろう。

うまくやっていけるかな。

楽しい学校生活になるといいけどな。


ワクワクもあり、不安もあり。


「ほら、梓、桜が綺麗ね」

「…ほんとだ…」



あの場所から、すべてが始まったんだよね。

…もしかしたら、ずっと前から私達が出逢うことは決まっていたのかな。

もう、とっくに始まっていたのかな。



自然と笑みがこぼれる。

何だか、良い予感しかしなかった。

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