《MUMEI》

.





「マジだりぃ…」

「それ言ったの6回目…」

「何回言っても飽きないぜ、魔法の言葉『マジだりぃ』…」

「…7回目だ」






志藤は親友たち(二人)と、学校の四角に寝転がるのが一番好きだった。


交わす会話は他愛の無い、無駄なことばかりだ。






吐息の様に紡ぐその言葉たちは、いつも気怠そうに間延びさせられる。


「藍原、繭川…」


志藤の言葉に二人は、顔を向けて反応を返す。



「茂手木ってやつ、いるだろ?俺のダチなんだけど…」



志藤は溜め息を洩らす。




「アイツの《彼女様》がさあ、俺に嫉妬してるみたいなんだ。」



藍原がカラカラと笑う。


「そりゃ、そうだろ。お前、戸籍上は…」


「藍原」



言葉の先を、繭川が制する。

志藤は目を細めて首を振った。




「そうだな。俺の心は、しっかり男なのにな…」




「わりぃ…」

「いいよ、別に…」



シュンとした藍原の頭を、志藤は笑いながら叩く。

大袈裟に痛がる藍原を笑い、志藤は続けた。


「で、その彼女が俺の悪い噂を《流してくれてる》みたいなんだ。」




「そりゃうざいな」





繭川の相槌に、志藤は頷いた。









「だから今から全力で、根源を断ち切りにかかる。」

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫