《MUMEI》
オーディナリー・デイ02
「死ぬ理由がないから、生きている。」
不利益な毎日をすり減らすだけで終わる日々。


前にならえと、ならべられた机と椅子。
今日も製品化された思想を叩き込む。

イズルは、
この苛立ちの向かうベクトルを探していた。


「おい、湯上谷、おい!湯上谷!」

「はい…」


無機物の様な視線を教師に送る。
ざわめきもせずに、見届けることにした生徒達。

「そんなに、空が好きならば廊下へ行くか?湯上谷〜。」
「はい…わかりました…」

二つ返事で出て行くイズル。

教師は「勘弁して下さい!嫌です!」と、イズルが言うとでも期待したのだろう。
言った本人がイズルの行動にキョトンとしている。貞操を繕う事と威厳を保つことに夢中な教師の前を通り過ぎるイズル。

ドアを開けた瞬間、近くに座る生徒が震えるほどの冷たい風が吹きこんだ。

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