《MUMEI》
感情
どうして……?
どうしてあなたなの?
「……鈴音?」
「私は…安達 鈴音…」
声がまったく一緒なのに……
体がいつもの人を食らうもののように大きくて、こうらのように固い
こんなの……
鈴音なんかじゃない!!
「こんな……鈴音…知らない…」
私はパニック状態になっていた
鈴音は人間!!
……じゃー目の前の鈴音は誰?
でも私は人を食らうものを殺さなくては…
感情なんかに支配されちゃあいけない!!
私は自分に言い聞かせ、心を決め、鈴音に剣を向ける
「……私を殺すの?」
オドオドしながら私に質問をする
その言葉を聞き、剣をおろしそうになった
でも私は母との約束を……
最初で最後の約束だから――…
「……守らなくちゃいけないの!!」
「……私を殺せるんだぁ♪親友だったのにぃ〜」
さっきまでオドオドしてたのにすごい変わりようだなぁ
でも――…
親友…か……
やっぱり優しくしてくれたの鈴音だけだったから
信用してた――…
親友より大親友だって最近思ってた――…
鈴音はそんなこと思ってなかったんだ
「…どうして私に近づいた?」
口は勝手に動く
いや……
しゃべってないと涙が出そうでしゃべってたんだと思う
「命令されたから♪ねぇ早く殺さないと未来さまに怒られるんだけどぉ〜」
未来――…
殺せないってわかっていたのかな?
私には殺せるって思ったんだけど案外難しいだね
「でもね……私は殺せないよ♪」
そう
私は未来にしか殺されない体になってるんだから
「…でもそれが殺せるのぉ♪未来さまの血をわけてもらって・」
私に小さいビンを見せる
でも未来の血を持っていたってどうにもならない
だって私の体の中に入れれるわけないから
「…どーやってすんのよ!!」
決めたくないけど鈴音が自分の手を見せて
「この鋭い爪に血を垂らして……」
言葉通りのことを今、鈴音がやっている
「……」
私は何か来るかなんて考えず、剣を持ってるだけだった
「…あとはぁ〜小夜に傷つけるぅ〜」
重たそうな体を動かし、私に向かって走ってきた
目の前に……鈴音…
逃げれない――…
これで私の人生も終わりなの?
私が死んだら……
七島はちゃんと人を食らうものから人間を守ることはできるのだろうか?
守れないね…
死んだと思ってもまた襲いかかってくる
じゃー
こんなとこじゃあ死ねないね
キンッ
剣と鉄のような手の競り合い
「……くっ…」
私……押されてる
ここはいったん離れよう
トン……
体制を整えて…
「はぁぁぁああ!!」
グッ…
叫びながら私は剣に血を流した
走りながらチクッとする痛みに我慢した
「…どーせ殺せないくせに……」
何があっても私は感情を捨て戦わなくてはならない


どんなことがあっても――…

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