《MUMEI》
オーディナリー・デイ03
これぐらい寒い方が何かを考えるには丁度いいな。
だけど何も考えたくない。

廊下から見上げた空は、規則的に波打った雲がトタン屋根のように空を支配している。


(…授業もどうせ終わりだし、いっか…)


非常階段まで真っ直ぐにつながった廊下を、音をたてずに歩きはじめた。


どこの教室も、
ラスト10分のツメ作業に入っているようで
白熱した授業がこちらまで伝わってくる。
あぁ、うるさい。


おかげさまで無事に非常階段へのドアまでたどり着きその扉を開けた。


外は廊下よりも寒かったが、空は廊下から見た景色よりも、きれいでイズルは、ホッとしていた。

少しだけ興奮気味に階段を駆け上がると、その足音に驚いたのか、声が聞こえた。


「誰ですか〜?僕の黄昏タイムをジャマするのは〜?」

給水塔の上から髪の長い青年がこちらを見ている。
長い髪がせわしなくなびいている。

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