《MUMEI》
類は友を…
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―――昼休み。


食事を済ませた俺は廊下に出て、缶コーヒーを片手に友達と世間話をしていた。内容は夏休みのことや授業のこと、そして転校生・榊原のことだった。

「そういやお前、榊原と幼馴染みなんだって?」

唐突にそんなことを言われて思わずコーヒーを吹き出した。汚ねっ!と俺の失態をなじる友達を、口元を手の甲で拭いながら睨む。

「誰がそんなホラを…」

恨めしそうに呟いた俺に友達は榊原本人から聞いたと答えた。

「小学校のクラスメイトなんだろ?お互い気も合ったし、よく遊んでたって言ってたぜ」

アイツ、あることないことをぬけぬけと…。心の中で毒づいてため息を吐く。

「俺の記憶が正しければ、アイツと無邪気に楽しく過ごした幼少時代の思い出なんて一切ないけどな」

「え、そうなの?」

「この際だから言っとくけど、アイツに関わらない方がいいぞ。かなり腹黒いし何考えてるかさっぱりわからねぇ。昔からそういうヤツなんだ」

「そうか?榊原、頭良さそうだし面白いし、いいヤツじゃん?」

「騙されるな!俺を信じろ!」

そんなことを言い合っていると、友達が廊下の窓から外を見て、あ!と声をあげる。

「噂をすれば、張本人だよ」

その声に合わせて俺も友達の視線を追う。俺達がいる廊下から校舎の中庭がよく見えた。昼休みということもあり、何人かの生徒達が思い思いにブラついている。


その中に見知った人物がいた。もちろん噂の榊原である。しかし、彼はひとりではなく、女生徒とふたりで中庭を通過している最中だった。


そして、その女生徒は。



―――憂?



憂が榊原の横に並んで歩いていた。表情はいつもの通り淡白だが、会話が弾んでいるようで時おり榊原の顔を見上げている。榊原も憂を見返しては微笑んでいたりと、傍目からはとても楽しそうな様子だ。

「あれ、神林さんも一緒なの?」

珍しい…と友達がぼやいた。憂が誰かと一緒にいることが、という意味だろう。彼女は学校で誰とも関わらないように過ごしている。特殊な能力を持つ俺だけを除いて。


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